COLUMN

ワークアウト

2020年8月3日

【マラソン】夏場のロング走って本当に必要なの?

みなさん、こんにちは!


RUNNING SCIENCE LABの新田です!


毎年、夏になるとどこからか聞こえてくる、「距離を踏まなきゃ!」という声。


多くのランナーが一生懸命ロング走で距離を踏み、基礎作りに励んでいると思いますが、そのトレーニングは本当に「夏」にやる必要はあるのでしょうか?


今回はそんな疑問にお答えするべく、夏場のロング走に関して考えていきたいと思います!


先に結論をお伝えすると、この問いに対する解は「必要性は低い」と個人的には感じています。


では、なぜ夏場に行うロング走の必要性は低いと感じているのか?


その理由についてご説明したいと思います!


※今回の記事は私自身の個人的な考えが色濃く反映されているので、客観的な意見というよりは一個人の意見として読んで頂けると幸いです。(笑)



なぜ、夏にロング走を取り入れるのが主流になったのか?

まずは夏場にロング走を取り入れるようになった背景から考えてみたいと思います。


陸上界(実業団・大学)では、年間のレーススケジュールは以下のような計画に沿って動くことが大半です。


4-6月 トラックレース(1500m-10000mなど)

7-8月 夏合宿

9-10月 トラックレース(1500m-10000mなど)

10-1月 駅伝シーズン

1-3月 ロードレース(マラソン・ハーフマラソンなど)


ご覧いただくと分かる通り、トップ選手達は7-8月を除き、年間を通してレースの予定が計画されています。


しかしレースばかりでは自分の走力を伸ばすことは難しく、基礎体力(自分の上限を高める期間)を向上させる期間を設けなくてはなりません。


では、一体いつその期間を設けるのかというと、多くの選手はレースの少なくなる夏に基礎体力を向上させるためのトレーニングを行います。


トレーニング内容としては、30-40km走のような距離を踏む練習を中心に基礎体力の向上に励みます。


これらの光景は、箱根駅伝前に放送される特集番組などで多くの方も目にしたことがあるのでは無いでしょうか?


トップ選手達は、夏場にロング走を取り入れ、距離を踏んで結果を出している。


これは事実であり間違いありません。


しかし、トップ選手と同じレーススケジュールで動いていないランナーにとっては、この方法をそのまま取り入れる必要はあるのでしょうか?


私は必要性は低いと感じています。


では、なぜ必要性は低いと感じているのか?


次章でご説明したいと思います!



なぜ、夏にロング走を取り入れる必要性は低いのか?

夏場にロング走を取り入れる必要性が低い理由としては、大きく分けて二つあると思います。


①季節的なデメリットが多い

大前提として夏は高温多湿でトレーニング環境には不向きな季節と言えます。
(暑熱下のトレーニングはランニングエコノミーを高めやすいなどメリットもあります)。


理由としては以下のような例が挙げられます。


・そもそも激しい運動自体が危険
・同じ負荷のトレーニングでも疲労が大きい
・食欲の低下に伴い回復が遅れ怪我のリスクが高まる
・発汗量が増え貧血になりやすい


このように、トレーニングをするのに適しているとは言えない季節に、わざわざトレーニング量を増やす必要はないと思います。


例外として必要な時もありますが(10-12月に本命レースを控えている場合)そうでなければ、気温が落ち着いてから距離を踏むようなトレーニングを取り入れてもタイミングとしては全く遅くないと思います!


②基礎作りの先にレースはあるのか?

①でも軽く触れましたが、10-12月にマラソン大会の出場予定がないのであれば、夏場に基礎作りをする必要はありません。


基本的にレース本番から逆算して3-4ヶ月前から本格的なマラソントレーニングを開始するのがセオリーとされています。


1月以降のマラソン大会に出場する方は、涼しくなってきた秋以降から距離を踏むようなトレーニングを取り入れていけば十分レースに間に合います!


余談ですが、トレーニングの時期なども考慮すると記録を狙うレースは1月以降に設定した方が無難と言えます。


では、夏はどんなトレーニングを実践した方がいいのか?


いくつかオススメのトレーニングを挙げてみたので、ぜひ参考にしてみてくださいね!



夏場にオススメのトレーニングとは?

①ショートインターバル(200-400m)
効果:ランニングエコノミーの改善

マラソンのレースペースよりも速いペースで行いましょう!


連続して本数を重ねるのが難しい場合は本数を区切ったりレストを長めに設定しても良いでしょう!


例)
400m×10本→400m×5本 2SET


ランニングエコノミーについての詳しい解説はこちら!
【マラソン】ランニングエコノミーとは?



②ドリル(動き作り)
効果:ランニングエコノミーの改善・怪我予防

ランニングのドリルはフォーム改善に効果的です!怪我の予防から効率の良い走りの習得などが期待できます。


最近はYouTubeなどでも効果的なドリルを紹介しているので、気になる方はチェックしてみてください!


オススメのチャンネルはこちら!
為末大学(オリンピアンが理論から実践まで丁寧に解説してくれます)



③スプリントトレーニング
効果:ランニングエコノミーの改善

スプリントトレーニングはショートインターバルよりも短い距離(50-100m)を全力で走るトレーニングになります。


普段発揮することのないパワーを出力するため、走る際に必要な筋力の向上に効果的です!


トレーニング例
50m×5本+100m×5本
坂ダッシュ(100m)×5-8本



まとめ

・1月以降に本命レースがある場合、夏場に距離を踏む必要性は低い
・本命レースの3-4ヶ月前から基礎作りに取り掛かっても十分間に合う
・夏場は短い距離の練習を中心に(ドリルも効果的!)


いかがでしたか?


夏=距離を踏む、は全てのランナーに当てはまることはありません。


自分の本命レースから逆算して、必要なタイミングでロング走のような距離を踏むトレーニングを取り入れていきましょう!


ここまで読んで頂きありがとうございました!


またお会いしましょう!