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ワークアウト

2020年5月11日

【マラソン】ランナーが“筋トレ”をするべき2つの理由

みなさん、こんにちは!


RUNNING SCIENCE LABの三津家です。


突然ですが、こんなお悩みありませんか?


・どんなに走ってもなかなかタイムが伸びない…

・走るとすぐにケガをしてしまう…

・次のレベルに行きたいがスピードに限界を感じている…


じつはこれらの悩みは、あることで解消できるかもしれません!!!


それは……………………「筋トレ」!!!


もったいぶった割に普通のことを言ってしまいました……。


が、最近の研究では、筋トレを上手に取り入れることでマラソンのタイムを効率良く縮められることが分かってきているのです。


今回は、マラソンにおける筋トレの役割と具体的なトレーニング方法をご紹介するのでぜひ参考にしてみてくださいね。


そもそも筋トレとは?

筋トレとは、筋を強く、太くすることを目的として筋に負荷をかけるトレーニングです。


筋トレの具体例としては、補強、ウエイト、プライオメトリック(ジャンプ)、スプリント(ダッシュ)といった種類があります。


最近では、多くのトップランナーが筋トレを積極的に取り入れて、パフォーマンスの向上に繋げています。


では、ランナーにおける筋トレにはどのような効果があるのか、一緒に確認してみましょう!


ランナーにおける筋トレの効果

ランナーにとっての筋トレを取り入れる必要性は大きく分けて二つあります。


①ランニングエコノミー(走りの効率)の改善


筋トレを行うことで、主に神経系の改善や筋線維タイプが移行することにより、ランニングエコノミーの向上につながります。(ランニングエコノミーについてはこちらから)


筋力が高まり、安定したランニングフォームで走ることで、これまでより楽に、より速く走ることができます。


このランニングエコノミーはある一定の走速度でのエネルギー量のことです。



同じ走速度でもエネルギー量が少ない人ほど、効率よく走っているということになります。


たくさん走りこんで、どれだけのエネルギーを持っていたとしても、この効率が悪ければ、速く走ることはできません。


この効率を良くするためには筋力を高める必要があります。


②ケガの防止

筋トレを行うことでケガの防止につながります。


今まで以上に速く走ろうとするときに、その速さに耐えることのできる筋力を備えていなければ身体は悲鳴を上げてしまいます。


また、走るトレーニングだけ行っていると必然的に走る距離が多くなり、長時間着地の衝撃を足で受けることになります。


さらに走りの癖や、ランニングコース(傾斜や曲走路)によってはある箇所に大きな負荷がかかってしまいます。


そのまま走り続けていても、ケガやフォームの乱れにつながるのは必然です。


筋トレを行うことで、走るのに必要な筋肉に対し、正しい負荷をかけることができフォームの安定につながります。


安定したフォームで走ることでより長い距離を走ってもケガのリスクを減らすことができます。


このような効果のある筋トレを取り入れないのはもったいない!


しかし正しい筋トレを行わないと、これらの効果を最大限に得ることはできません。


ランナーのための筋トレとはどのようなものでしょうか。


ランナーのための筋トレ

筋トレにより筋肉を大きくすること(筋肥大)はマラソンランナーにとって適しておらず、重い体ではマラソンを速く走ることはできません。


筋肥大させずに、筋が発揮する力を強くさせる必要があります。


しかし普段から走られているランナーの皆さんは心配はいりません。


持久系の運動 (Jog) と筋トレを組み合わせて行うことで、筋が肥大することを抑えながら、筋力が高まることが明らかになっています。


また筋トレを行うのはJogの前がオススメです。


Jogの前に筋肉に負荷をかけて刺激を入れておくことで、より良い意識でJogすることができます。


さらにフレッシュな状態で筋トレを行うことができるので、筋トレ自体の効果もアップです。


筋トレを行う際には、Jogも組み合わせるようにしていきましょう。


上級者の方には筋トレの中でもウエイトトレーニングがオススメです。


最大筋力を高めることがランニングエコノミーを高めることへの近道です。


しかしウエイトトレーニングは重りを使った本格的な筋トレです。


マッチョの人が行っているイメージが強いと思います。


これこそ筋肥大を起こすのではないのと不安な人も多いと思います。


ですが安心してください!


ランナーにおいては、高負荷(maxの85%以上)で低回数(1~5回程度)であれば筋肥大は起きない、もしくは起きるとしてもわずか程度であることが明らかになっています。


もちろんjogと組み合わせることも忘れないでくださいね。


●実践

いくつか具体的なトレーニング例を紹介していきます。


ウエイトトレーニング例

ウエイトトレーニングは間違ったやり方で行うとケガをしてしまう可能性があります。


行う際は経験者や、専門的知識を持っている方と行うようにしてください。


・ベンチプレス5回×3~5set


・スクワット5回×3~5set


・クリーン5回×3~5set

画像(例)


近くにウエイトができるような場所がない、ウエイト経験者が周りにいないという方も多いと思います。


そのような方にオススメの筋トレはプライオメトリック(ジャンプ)とスプリント(ダッシュ)です。


場所を気にせずに比較的にどこでもできるトレーニングです。


プライオメトリックスとスプリントは、ランナーのランニングエコノミーを高めることが明らかになっています。


プライオメトリック例

・階段1段飛ばし

・その場ジャンプ5回*3~5set

まずは身近なところから!!


・バウンディング


階段を上るときに1段飛ばして登ることや、その場で上にジャンプすることでも十分に効果があります。


慣れてきた人はバウンディングを取り入れてみましょう。


スプリント例

・50~100m×3~5本

・坂道ダッシュ


行う際の注意点としては、ケガには気を付けて、入念に準備体操後に行うようにしましょう。


可能な限り全力で行うことが望ましいですが、これまで行っていない人の場合はいきなり最大の力を出すことで筋を痛めてしまうことも考えられます。


まずはフォームを意識することから始め、徐々に力を出していくようにしましょう。


このような筋トレは、筋にかかる負荷も高く、回復も重要なポイントになってきます。


疲れて大きな力を出せない状態で取り組んでも効果は半減してしまいます。


週に多くても2~3回、セット間も十分に休息をとるようにしましょう。


まとめ

・筋トレは主にランニングエコノミーを高め、ケガを防止する。

・最大パワーで行うことで効果アップ。

・週に2~3回、フレッシュな状態で行う


さらなるステップアップのためにも、ランナーの皆さん、ぜひ筋トレを取り入れてみてはいかがでしょうか。


参考文献


・Storen O, Helgerud J, Stoa EM, Hoff J. Maximal strength training improves running economy in distance runners. Med Sci Sports Exerc 2008: 40: 1087– 1092.

・Paavolainen L, Paavolainen L, Hakkinen K, et al. Explosive strength training improves 5-km running time by improving running economy and muscle power. J Appl Physiol 1999; 86:1527–33

・Turner AM, Owings M, Schwane JA. Improvement in running economy after 6 weeks of plyometric training. J Strength Cond Res. 2003;17:60–7.