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ランニングアビリティ測定

2020年5月11日

【マラソン】AT値を知れば適正ペースがわかる!

みなさん、こんにちは!


RUNNING SCIENCE LABの新田です!


今回は「AT値」についてご紹介していきます。


突然ですが、みなさんはマラソンのペースをどうやって決めていますか?


・過去のレース経験?

・練習内容から?

・何となく感覚で?


どれも間違いではありませんが、「AT値」を用いると


もっと正確にマラソンのペースを算出することが可能です。


では、AT値とは一体どんなものなのか、一緒に確認して見ましょう!


①AT値とは?

AT値(Anaerobic Threshold)は、「無酸素性作業閾値」とも言われます。次のグラフを見てください。


AT値の解説図

走る速度を上げていくと、赤い矢印の辺りから


乳酸値が急激に増加していることが分かります。


このように乳酸値が急激に増加する地点※を「AT値」と呼びます。
※血中乳酸濃度の2(mmol/L)付近がAT値。


では次に、マラソンのパフォーマンスと「AT値」にはどのような関係があるのかを見ていきましょう!


②AT値とパフォーマンスの関係性

AT値で発揮できるパフォーマンスは、理論上


フルマラソンを走りきれる最も速いペースと考えられています。


上の図から分かる通り、「AT値」を超えると無酸素系エネルギーが動員され始めます。


有酸素系エネルギーでは、エネルギー源として、体内の脂質と糖質(グリコーゲン)を50%対50%程度の割合で使用します。


そこからペースを上げ、「AT値」に近づくに従って、その割合が少しづつ糖質優位に傾きます。


さらに、AT値を超えると100%に近い割合で糖質がエネルギー源として利用されるようになります。


糖質は少ない資源

糖質は食べ物から摂取して、身体(骨格筋・肝臓)に蓄えておくことができますが


蓄えられる量に限りがあり、上限は2000-2500Kcal程度です。


一方でフルマラソンを走りきるには約2500Kcalが必要と言われており、


スタートからAT値を超えて走り続けた場合、後半に失速する可能性が


非常に高いということが考えられます。


そこでレース中は「AT値」を指標にペースをコントロールすることが


マラソンで最高のパフォーマンスを発揮する最大の鍵となるのです。


③AT値の計測方法

「AT値」の測定方法は二種類あります。


1.乳酸カーブテスト(LT)


2.呼気ガス測定(VT)


どちらも専門の施設で測定を行う必要がありますが


機会があれば一度受けてみる事をオススメします!
※RUNNING SCIENCE LABでも測定可能です。



また最近ではGarminなど一部のスポーツウォッチでも推定値を測定可能です。


この機会に自分の「AT値」を把握してトレーニングやレースに活かしてみてはどうでしょうか。


ここまで読んで頂きありがとうございました!


またお会いしましょう!